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【感想】滅びゆく魔法書からの脱出

滅びゆく魔法書からの脱出

クリアすることが出来たので感想などを残しておきます。

※ネタバレや攻略情報はありません。(※そもそもネタバレ禁止の作品です)

 

『滅びゆく魔法書からの脱出』は、SCRAP出版というリアル脱出ゲームなどを制作している会社が手掛けたゲームブックです。

リアル脱出ゲームブックとしてはシリーズ3作目で、前1~2作があるようですが、自分はどちらもやったことがありません。

(※前作をやってないと分からない点などはなかったので、何処から始めても問題ないと思います)

というかゲームブックを買ったのも遊んだのもこれが初めてです。

なので『ゲームブックあるある』なのか『この作品特有のもの』なのかはあんまり区別がついていません。

 

 

ゲームブックとは?

ゲームブックとは文字通り、読み進めることでゲームを遊べるような作りになっている本のことです。

場面ごとに『パラグラフ(段落)』という番号が割り振られていて、例えば

「スライムが現れた!

 戦う → パラグラフ5へ

 様子を見る → パラグラフ187へ

 逃げる → パラグラフ265へ」

というように、自分の選択で次の場面を選ぶシステムになっています。

パラグラフ同士の繋がりはバラバラなので、1の次が2とは限りません。そのため、あっちこっちにページが飛びます。

『攻略』していかないと一つの物語にならない、という風に出来ているわけですね。

 

 

公式サイト↓

scrapshuppan.com

 

以下、この作品の紹介と感想です。

気になった方は参考にどうぞ。

 

はじめに

先述した通り、ゲームブックに関してはこれが初挑戦なので平均値はよく分かっていません。

その上で本作の感想を一言で述べるなら、面白かったけど難しいし纏まった時間が必要、という感じです。

 

コンピューターゲームと比較しても引けを取らないほど攻略に時間を使いますし、何より少し間が開くと前の内容を忘れてしまったりします。

更にパラグラフでバラバラになっているため、『前の展開を読み直す』っていうのが普通の小説などと違ってやりにくい。度忘れると大変です。

そのため、纏まった時間を作って一気にやらないとあっという間に積みゲーになりかねないかと思われます。

ただ、それだけ時間を使っただけあってクリアしたときの喜びも結構なものですし、何よりゲームブックの面白さというものも勉強出来たので買って良かったと思っています。

明らかにこれは初心者向けじゃなかったな、とは思いましたが……。走り切れたのでヨシ。

 

 

謎解き

『ギミック満載のRPG長編!』と謳っているだけあって、非常に謎解きやギミックが豊富でした。脱出ゲームがベースなだけあると思います。

序盤の謎解きは小学生でも解けるだろってくらい簡単なのですが、先に進むにつれて段々難しくなり、後半になると自力では解けないものも多かったです。

公式サイトの方にヒント集があり、段階的にヒントをくれるタイプなので、解けそうにない場合はまずそちらを見てみましょう。

というかノーヒントで解くの無理なレベルのものがあるので意地を張らずにヒントを見た方が良いと思います。

これで大体は解決するんですが……たまに最後のヒントまで見てもさっぱり解らないものもあります。

最終手段としては『正解のパラグラフの場合、直前のパラグラフが○○になっている』という仕様を利用して○○と書かれているものを虱潰しに探せば見つかります。

答えから逆算して解法を探せば納得がいくことがありますが、自分は一個だけ意味不明のまま終わったものもあります。難しっ。

脱出ゲームよろしく、何人かに謎解きを協力してもらうのも良いかもしれませんね。クイズ番組を見る感じで。

 

自分はゲームブックのことを選択肢を追っていくだけのゲームだと思っていたのですが、このゲームブックはやることが非常に多いです。

色々書いたり、メモしたり、計算したり、折り曲げたりと、本を読む以上に頻繁に手を動かすことになります。

地図だのシートだの付録だのに加えて、メモもまとめておく必要があるので、『手すきの時に読む』なんてものじゃありませんでした。

机にガッツリ陣取って広げて、集中して挑むものです。なんならコンピューターゲームの方が場所取らないかも。

クリアまでには20時間くらいかかったと思います。大半は謎解きで頭を捻っている時間だとは思いますが。

 

この作品特有なのかもしれませんが、「そんなのアリ~!?」みたいなギミックが結構あるので毎回驚かされました。

本だけでなくカバーも使うし、カバー裏も使うし、なんと帯まで使います。自分は帯はさっさと捨てちゃう人なので、使うと言われて慌ててゴミ箱から取り出しました。

紙で、それも印刷して製品としてこういうギミックが作れるのは凄いな~と思いました。これだけ詰まって2200円って安すぎるのでは?と感じたくらい。

最後の方にはこれまで何度も使ったアイテム・付録から感じる『違和感』を利用したギミックがあったりと、本当に驚きの連続でした。

……ただ、前述の通りヒントが少なすぎるので、そんなもん分かるかい!となることもしばしば。その分自力で解けると気持ちいいんですがね。

謎解きのルールが不明瞭だったり説明不足だったりするのは個人的にやだな~と思いましたが、それも含めて謎解きだと言われればそうかもしれません。

 

エンディングが紙面に載っておらず、最後の謎解きで得た答えを公式サイトに入力すると読める、という現代的なギミックもあります。

パラグラフの仕組み上、他の場面もどうしても目に入っちゃうので(実際それで途中から黒幕っぽい人が目に入っちゃいました)、エンディングが別記なのは個人的に良かった点です。面白いし。

 

色々と書き込んだり折ったり曲げたりする仕様上、もう一度最初から遊ぶということは基本的に不可能です。

どうしても二週目をやりたい、他の人にも貸したい、という人は予め使うもののカラーコピーを用意しておく必要があります。

自分は途中から二週目のことは諦めてガンガン本に書きこんじゃいました。(攻略上はその方が楽です)

書き込んだりするのが嫌ってタイプの人にはちょっと向かないかも。カラーコピーも手間ですし。

 

 

ストーリー

召喚士のヨブと盗賊のネコという二人の少年が、魔王を倒したものの最後に放った魔法の力で、魔法書の世界の中に閉じ込められてしまうという話。

その世界では、外から来た者は5日以内に脱出しないと死んでしまうと言われているため、ヨブとネコは魔法書から脱出するために魔法書の世界を冒険します。

 

シナリオ自体は真面目で、特に終盤ではシリアスな展開が続くものの、序盤~中盤はのほほんとしたギャグ調な感じ。

ドラクエみたいな剣と魔法の世界観でありながら、ちょいちょいメタ発言や現代用語が飛び交ったりする。この辺のギャグテイストは好みが別れるところだと思います。

話のオチやエンディングに関しては綺麗に出来ていて、良い物語だったなと思えました。

 

召喚獣を呼ぶから「ヨブ」だとか、長老だから「ジージ」だとか、宿屋のおかみだから「オットマリ」だとか、ネーミングの段階でそういう本格ファンタジーとは違う路線だとは感じます。

ネーミング的には小学生向けっぽい感じがする(実際に序盤の難易度も小学生レベル)のに中盤から段々難易度が上がってくるし話もシリアスになってくるので、小学生には難しいかも。

その辺とか色々ひっくるめて『魔法陣グルグル』っぽいかな、と思ったり。(あれほどシュールギャグ路線ではないですが)

 

「次は図書館に行ってみようかな」「それなら次は長老の家に行ってみようかな」「情報を纏めたら外も探してみよう」

というように、遊んでいる間は自分の頭の中でちゃんとRPGしてるなぁと感じました。

ハズレの選択肢にも情報が隠されていたり、変な行動に対してもちゃんと答えがあったりと、芸が細かいのも良い点。

ちゃんと町の人の情報を聞いて回るタイプのRPGプレイヤー向けのゲーム、と言えるかもしれません。

 

メインキャラのヨブとネコの口調の違いが分かりにくく、二人一緒に行動することが多いのに「今これどっち喋ってるんだ?」ってなるのは個人的に困った点。

謎解きに影響を与えたりするものではありませんが……もうちょっと分かりやすく区別をつけてほしかった。

 

 

おわりに

ギミックなんかはどれも新鮮で、色々と参考や勉強になったので買って良かったと思います。

面白かった……けど、しばらくゲームブックはやらなくていいかな、という感じの疲労感。

やっぱり初心者はこういう長編ではなく、もっと簡単なところから手を出すべきなのかもしれません。