魔物娘と不思議な冒険2
タイトルダンジョン999階まで到達できたので感想などを書いておきます。
魔物娘と不思議な冒険2、通称『まもけん2』はトルネコやシレンのような不思議なダンジョン系のローグライクRPGです。
特に『少年ヤンガス(トルネコ3の次の作品)』から大きな影響を受けている作品であるため、少年ヤンガスをやり込んでいた筆者としては気になっていた作品でした。
元々はPCでのみ販売されていたようですが、最近Switch版が出たのでそちらを買うことに。
Switch版は2だけでしたが、後に1も出たようです。(私は2しかやってないです)
※追記
つい最近販売元が変わっただけで、1のSwitch版は2020年からあるそうです。
タイトルからも察せるように、このゲームはいわゆる『モンスター娘』を仲間(仲魔)にして一緒に冒険することが出来ます。
ただ、それだけが売りの美少女ゲームってわけではなく、不思議なダンジョンとしての完成度がとても高いのがこのゲームの魅力だと思います。
初心者には手厚いサポートがあって、上級者には相応の腕試しがいっぱい用意されているので、幅広いユーザーが楽しむことが出来るはず。
モンスター娘にあんまり抵抗が無くて(むしろ好きで)、不思議のダンジョンに興味があるって人に是非ともオススメできる名作です。
本作と1は世界観や登場キャラクターがある程度共通しているようですが、1をやっていなくても普通に楽しめました。
1をやっていると分かるんだろうな~って点や、1やってないから何言ってんのか分かんないな~って点は少なからずあったものの、大した問題にはならないと思います。
2の方がゲームシステムとかグラフィックも洗練されていて遊びやすいと思いますし。
以下、このゲームの紹介と感想です。
重大なネタバレとかは特に無いので、気になった方は参考にどうぞ。
全体的にのほほんとした世界観
魔物の特徴を有する女の子、『魔物娘』がたくさんいる世界の話。
主人公である少年(少女?)が魔王となった『メルト(バフォメット)』と共に、故郷の村に戻ってきたところから物語が始まります。
その後、何だかんだ色々あって主人公がダンジョンに挑戦することに……というのが大まかなお話の流れ。
先述の通り前作と繋がってるんだろうな~って要素はあるものの、主人公が1と2では別人らしいので、2から始めてもあんまり違和感はありませんでした。
主人公が向かうことになるダンジョンには、敵キャラクターとして魔物娘が登場します。(むしろ魔物娘以外の存在は一切登場しないです)
ただし、敵と言っても殺伐とした感じはほとんど無く、基本的にみんな「ちょっと痛い目に遭わせて追い返してやろう」くらいのスタンスです。
ほぼ全ての魔物娘を説得して仲間に出来るというゲームシステムなため、敵対していても会話や説得に普通に応じてくれます。
更には、主人公に倒された魔物娘には労災がおりたりしているんだとか。
不思議のダンジョンが元になっているため、シレンでいう『ねだやしの巻物』や『にぎりへんげ』に当たるようなものもあるのですが、それらも本作独自のテイストに変更されています。
例えば『ねだやしの巻物:対象のモンスターをこのダンジョンから一切登場しなくする』に当たるものは『長期休暇の本』というものになっていて、これを読むと「対象の魔物娘に長期休暇を与えた」という名目で一切登場しなくなります。
おにぎりに変えて即死させる『にぎりへんげ』は、一部の狐娘が使ってくる『油揚げの舞』という技になっていて、これを魔物娘が受けると「私物を油揚げにされてガッカリして帰った」という扱いになります。
そんなわけで、殺伐とした要素を徹底的に緩くてのほほんとした感じに変更されてるのが本作の大きな特徴です。
絵柄も相まって優しい雰囲気のゲームなため、そういうのが好みの方にもオススメです。
自由度がとても高い仲魔システム
本作の最大の特徴は、敵として登場する魔物娘を仲間にして連れ歩ける『仲魔システム』です。
最初に触れたように、これは『少年ヤンガス』の仲間モンスターシステムがベースとなっているのですが、少年ヤンガスよりかなり進化していて上手く出来たものとなっています。
敵として登場する魔物娘に話しかけて、求められている条件を満たしてあげると説得に応じて仲魔になってくれるのですが、この勧誘条件は魔物娘ごとにバラバラです。
例えば光り物が好きなハーピーは腕輪をあげると仲魔になったり、いたずら好きなフェアリーは無視していると向こうから仲魔になってきたり、トレントは雨を降らせてあげると仲魔になってくれたり……などなど。
これが中々面白くて、魔物娘の個性を引き出してくれる良いフレーバーにもなっているように思いました。というのも少年ヤンガスではほとんどのモンスターの勧誘条件が「HPを減らす」だけだったので……。
そんなわけで人によっては面倒かと思うかもしれませんが、私は200種類近い魔物娘の図鑑を埋めていくのも楽しかったです。
あとこの勧誘条件の影響もあって、素潜り(※手ぶらでダンジョンに挑むこと)だと偶然が重なって強い仲魔を勧誘できたりするのも面白いです。
勧誘した仲魔は育成したり、スキルを覚えさせたり、アクセサリーを装備させてパワーアップさせるなどのカスタマイズ要素もあります。
少年ヤンガスだと仲間の成長限界(Lv上限)はかなり厳しく設定されており、元から強いやつ以外はどう頑張っても強くなれないという悲しいものがありました。
しかし、まもけん2では成長限界は全員一律まで伸ばせるし、下位種でも上位種からスキルを覚えることが出来るので、スライムをずっと育て続けて最強にするなんてことも出来ます。
スライムの上位種には「イエロースライム」「ポイズンスライム」などがいますが、カラーリングや性能だけでなく、種類ごとに性格や台詞なども細かく異なるため、そういった面でお気に入りの下位種を育て続けられるのは嬉しいですね。そして200種類近くいるのに全種に個別で台詞やメッセージが設定されているというのが凄まじい……。
ただし、極まってくるとどうしても替えが利かない超強いパッシブを持っているのとかがいますが……。
仲魔の行動を制御しやすいのも嬉しい点です。
少年ヤンガスだとHPが1でも減っていたらベホマラーを連発するようなクソバカAIが問題で、これをどうにかしようと「とくぎつかうな」にすると代わりにおかしな挙動を始めたりします。
まもけん2ではスキルごとにオンオフが切り換えられるほか、主人公が仲魔にお願いすれば任意のタイミングでスキルを使ってくれます。
仲魔はダンジョンに最大6人まで連れて行くことが出来て、同時に3人まで呼び出すことが出来ます。(残り3人は待機しています)
待機している仲魔を呼び出す際には主人公のMP(ターン経過で回復する)を使うだけなので、特にアイテムなどは必要ありません。少年ヤンガスでは仲間を入れる壺が必要でした。
連れ歩きをローテーションしてみたり、ピンチの時にだけ呼ぶヒーラーの仲魔をキープしておいたりなど、パーティ編成の自由度もかなり高いです。
こうして育てた仲魔を活躍させる場がしっかり用意されているのも嬉しいところ。
仲魔を連れて行けない素潜り専用の高難易度ダンジョンとかもありますが、しっかり鍛えた仲魔を連れて挑む高難易度ダンジョンもあります。
少年ヤンガスはクリア後のダンジョンはほとんど仲間を連れて行けないようになっていて……って何か少年ヤンガスdisってばっかりですね、私。嫌いなわけではないです。
プレイスタイルに合った難易度が選べる
本作は(ダンジョン攻略中でなければ)いつでも難易度を変更することが出来ます。
通常のローグライクモードの他、初心者やローグライクが苦手な人向けのモードや、通常では物足りない上級者向けのモードが用意されています。
ローグライクモードでもコンシューマーの不思議なダンジョンと比べると優しめな部類だと思いますが、ヌルいってわけではないので程よい緊張感で楽しめます。
本作はゲームとしての完成度が高く、理不尽な仕様やハメ殺しみたいなのはほとんどありません。
と言ってもローグライクなので運が悪ければどうしようもない事態に陥ることはあるわけですが……それでも理不尽度は少ない方だと思います。
ストーリー中で挑むダンジョンには「クリアしたことにする」という救済措置も用意されているので、どうしても詰まって先に進めないという事態にはならないと思います。
全体的に丁寧な作りで、痒いところに手が届く親切で優しいゲームだと思います。
また、本作の特徴としてダンジョンの最深部にボスが出ることがほとんどありません。
恐らく意図的なものだと思いますが「長々と潜って来たのに、初見のボスの対策出来ていなかったので一からやり直し」みたいなことを起こさせないためだと思います。
その対策としてボスなのに誰でも倒せるような情けない弱さにするなら、いっそ無くしてしまおうって感じでしょうか。
個人的にはこれも良いな~と思った点でした。ダンジョン探索ゲームなんだから、ダンジョンを踏破できたならそれで良いじゃない。
一人称視点の切り替えができる
不思議のダンジョンは主人公を中心とした三人称視点のゲームですが、本作はダンジョン内でいつでも一人称視点に切り替えることが出来ます。
この状態にすると仲魔を含め、敵の魔物娘にも自由に話しかけることが出来ます。
これで相手の話を聞いてみたり、説得したり仲魔に勧誘したりするわけですね。
ただ単にお気に入りの魔物娘をじっくり観賞するためのシステムだと思われますが、意外な使い道があったりするのが面白いです。
例えばマップ上では見えていないけど、一人称視点に変えたらどんな敵が迫っているのかが見えたり、屋外マップなら遠くの方までなんとなく見えるため、寝息が密集している(モンスターハウス)のが遠くからでも確認できたり。
他にも狐が化けているアイテム(トルネコでいう人食い箱とかミミック)は、呼吸をしているので一人称視点で凝視すると判別できたりします。
この視点の切り替えはかなりスムーズなので、小技として活用するのもストレスが無くて嬉しい。
本作独自の良いシステムだと思います。コンシューマとかにも欲しいくらい。
ハウジングはエンドコンテンツ
本作はダンジョンで集めた素材アイテムなどを使って、庭具や家具などを作ったりすることが出来ます。
それを好きなように配置して村を飾ったり、家の中を自由に飾り付けたりすることも出来ます。
飾り付けは特に冒険に効果を及ぼすものは無いため、好きな人が好きなように楽しむ要素になっています。
ただし、倉庫の拡張や新しい店の開店、仲魔を受け入れるための家の設置などにも同じように素材アイテムが必要です。
これの要求数が結構シビアで、家具なんか作っている場合じゃなかったりします。本当にやること無くなって余裕がある人じゃないと作っていられません。
そういうハウジング要素は別にいらないって人なら問題ありませんが、気になっていた人にはちょっと残念かも。(公式では目玉要素の一つとして推されていますが、そのために手を出すのは……って感じです)
まとめ
昔ハマった少年ヤンガスっぽいな~と思って手を出してみたら、少年ヤンガス以上にハマったゲーム。
いわゆる美少女ゲームではあるものの、ゲームとしてちゃんとしっかり作り込まれている良作です。
逆にモン娘萌えだけを期待しているとその辺は意外とあっさりしているのでガッカリするかも?
ただあっさりしていると言っても、200種近い仲魔にそれぞれの台詞パターンが用意されているので物足りないってことはないと思います。台詞に色々と細かい小ネタも詰まっていたりするのも楽しいです。
総じて、第一印象では「特殊性癖向けのニッチなゲーム」だと思われそうなものですが、不思議のダンジョン系のローグライクRPGとしてはむしろ幅広いプレイヤーが楽しめるようになっている作品です。
モンスター娘好きな人はもちろん、不思議のダンジョンが好きな人に是非オススメしたいです。