『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』、長いので略して『ガレ魔女』。
前作の『ルフ魔女』に続く、魔女ノ旅団シリーズの第2作です。
長い長い裏ダンジョンをクリアしてようやくグランドエンディングを見ることが出来たので、感想などを書いておきたいと思います。
ルフ魔女と同じく、ジャンルは3DダンジョンRPG。
現在はVita、PS4でのみ発売されています。Switch版は後から追加要素とか足して出るのかな‥‥。
前作についての紹介はコチラから。
以下、紹介というより感想。
前作(ルフ魔女)と比較してどうだったかをメインに書いています。
先に結論だけ書いておくと、このゲームに興味がある場合はガレ魔女から始めても問題はありませんが、先にルフ魔女をやってみた方が良いと思います。
重大なネタバレはしていないつもりですが、まっさらな状態で楽しみたい人はご注意を。
ストーリーは相変わらずの出来の良さ
ストーリーに関しては相変わらずよく出来ているな~と思いました。
伏線や違和感の散りばめ方や回収の仕方が上手い。「これはそういうことだったのか!」と気付く快感があります。
魔女ノ旅団シリーズらしい(と言うか日本一ソフトウェアの御家柄?)ちょっとダークな描写も相変わらず。
豊富に増えたキャラメイク要素
ファセット(職業のようなもの)が事前情報では、前作からの新たな追加が2,3種類くらいしかなく、最初は物足りないな~と思っていましたが途中からワッと増えます。
更に人形兵一体一体に設定できる要素も増え、キャラメイク好きの人は益々愛着が湧くようになっています。
人形兵同士に「親子」や「婚約者」などの関係を結ばせるアイテムも登場したため、妄想したい人にオススメ。無理に関係を結ばなくもOK。
数の暴力で敵を圧倒する大胆なバトルシステムは健在
前作同様、最大40体の人形兵で敵をボコボコにすることが出来ます。
明確に強いファセットはいるものの、職業間のバランスは良く出来ているんじゃないかなーと思いました。
攻撃の演出も設定でスピードアップ出来るため煩わしさは減りました。
サポートはほぼ控えでしかなかった前作と異なり、サポートから追撃したり援護したりなどのスキルを持つファセットが登場しているため、戦略の幅が広がっています。
新ファセットのネコチャンなんかは、サポートにいるだけでカヴンのステータスが上がるためまさに旅団のマスコットのような存在に。
何でもありなダンジョン探索も更にパワーアップ
壁を壊してしまうというダンジョンRPGにあるまじき蛮行を行えるのも据え置きです。
他にも罠で敵を足止めしたり、フロア内でポータルを繋げてショートカットしたりなど、ダンジョン内で使えるアクションも増えています。
序盤のうちからやれることがどんどん増えていくため、ルフ魔女をやってた人には丁度いいテンポだな~と感じました。
また、マップにメモが出来るようになり、何かがあったら自動でメモを残してくれるため、鍵つき宝箱を後から回収しやすいというのが地味ながら一番助かりました。
※ここから批判多め
調整不足感が否めない
ルフ魔女から快適になった部分もあるのですが、ここはどうしてそのままなの?みたいな仕様がチラホラ。
むしろマイナス点の方が目立っているように思えます。
・魂移しの不便さ
ルフ魔女と違い、表のストーリーの時点で数回に亘る魂移し(転生)を要求しておきながら、魂移しの仕様が不便なままなのはいただけないところ。
魂移しをするたびにスキルが全て外れてしまうため、30体近くの人形をいちいちスキルセットし直すのは苦痛で仕方が無いです。仕様上難しいのかもしれませんが‥‥。
更に、せっかく魂移しの履歴が見れるようになったのに、肝心の魂移しの画面でその履歴が見れないというチグハグっぷり。どうにかならなかったのでしょうか。
・相変わらずのドナム無双
バトルシステムは変わらないとは言いましたが、ドナム(攻撃魔法)が相変わらず強いです。
前作で猛威を振るったマージナルメイズが初期ファセットで出てこないため、調整目的で出てくるとしても後の方かな~と思ったら、意外と序盤で解放されます。後はもう終盤までずっと強い。
と言っても魔法使い系以外がみんな役に立たないと言うわけではないので、これはこれで良いのかもしれません。
・アイテム整理のアレコレ
アイテム捨てたり売却するのが1個ずつか全てしか選べず両極端です。
新要素として使うと経験値を与えられる『お肉』も、1個ずつチマチマ使うか所持してるの1人に全て突っ込むかの二択しかありません。
アイテムの所持数が99個(カンスト)になると、ドロップ時に頻繁に「これはもう手に入れられません!」と警告が出てくるので、逐一捨ててやらないといけません。
溢れ始めてくるころになると本当にうるさいです。何個かは使うため全部捨てるわけにもいかないし‥‥。
それと自動ソートが使いにくいです。 良い感じに並んでくれません。
・トレジャー地獄
クエストで要求されるトレジャーが異様に渋いです。前作でも何個か躓く箇所はありましたが、今作は比較にならないほど躓く点が多いです。
渋いトレジャーには基本的に稼ぎポイントのような場所がほぼ無いため、依頼クエストが中々達成できなくて、どんどん溜まっていきます。
特に、ラスボス戦に必須のアイテムが手に入る依頼クエストの要求トレジャーが、かなりの難度のため「これ実は裏ダンジョンに行くためのミッションなんじゃないの?」と思いながらこなすハメになります。特にヒントもないですし。
・突然跳ね上がる難易度
今作はラスボスが二連戦となっているのですが、一戦目(前座)がめちゃくちゃ強いです。
そこまでスムーズに来てて物語も最高潮に盛り上がるところで、モヤモヤしたままひたすらレベル上げをさせられます。
そして二戦目には前述した必須のアイテムが必要で‥‥一戦目の後にこれを使う準備をさせてくれないのでほとんどの場合二戦目で全滅します。と言うか使うんだろうなって分かっていても準備をするとかなり不安定な状態で一戦目を突破しないといけないため、更なるレベル上げが必要に‥‥。
再戦は二戦目からなのでまだマシですが、初見はほぼ必ず負けになる仕様はどうなのよ‥‥となりました。
ダンジョン部分のストーリーが物足りない
前作と違って、ダンジョン内(地下)でのストーリーがほとんど無く、非常に薄っぺらです。
これがつらい。非常につらい。地上で「これ取ってきて」「あれ探してきて」と言われては地下に潜って、拾って、地上のストーリーが進む、の繰り返しです。
前作は地下に色んな世界が広がっていて、その色んな地下世界での物語も気になるし地上での物語も気になるという二本柱になっていたのですが、今回はほぼ地上のストーリーだけ。
段々と地下の冒険は尺稼ぎにしか感じなくなってくるため、なんだか作業を終えるたびに小説を1ページずつ千切って渡されている気分になります。
また、ダンジョンの種類が少ないため、敵のバリエーションも乏しいです。
ルフ魔女は世界ごとにガラっと変わる敵も魅力の一つだったのですが、なーんか見たことあるような奴ばっかりだなぁ‥‥って感じで終わってしまいます。
『暗くどくどくする空間』で出てくる敵が終始同じなのはどうなの‥‥。中身も一緒だから弱っちいし‥‥。
極めつけのガッカリポイントはボスの種類が非常に少ないことが挙げられます。
所々で『ウィッカード』と言う怪しい鳥が、その辺のモブ敵(ステータスはボスクラスの強さになっている)を連れて襲撃してくるというイベントがあり、これがボス戦?のような扱いになっています。
このワンパターンなウィッカード襲来が最初から最後まで続きます。ボスらしいボスがほとんど出てきません。
そんでもって謎多き存在であるウィッカードは、終盤エリアでなんか普通に雑魚敵としてグループで出て来て、結局なんだったのかよく分かりません。おいおい。
手抜き?つまらないランダムダンジョン
本作では前作にはなかった、トルネコやシレンのような自動生成ダンジョンがいくつか追加されています。
6階区切りで固定マップ(物語のキーアイテムが置いてあるマップ)があり、間の1~5階は入るたびに形が変わるという仕組みです。
これが非常に面白くない。トルネコとかのローグライクは好きなんですが、自動生成は3Dダンジョンとは全く噛み合ってない気がしました。
ランダムマップではろくなアイテムが拾えないため階段を探して即降りが基本。申し訳程度のランダムイベントが用意されていますが、意味の無いイベントが大半で何のためにあるのか正直分かりません。
最初は新鮮だったけれど、やっていることは6階潜って魔女様に報告、6階潜って魔女様に報告、6階潜って魔女様に報告、なので‥‥。飽きます。すごく飽きます。
ボリュームのために無理矢理作ったんだろうな感が半端ないです。
最低最悪の裏ダンジョン
裏ダンジョンがゲームとは呼びたくないような苦行になっています。
これが本作最大の癌です。これさえなければまぁまぁの出来かなぁと呼べたのに、この苦行に付き合っているうちに、どんどん粗に気付いてしまって評価を落としました。
クリア後に挑める裏ダンジョンは前半と後半の二部構成になっており、前半部分はこれまで通りのダンジョンです。
後半部分が問題であり、先述のランダムダンジョンをなんと3651階分やらされます。あほか。ちなみに表でいくランダムダンジョンは100~120階程度です。それでも飽きたのに3651階って‥‥。
た~~~~~~まに50~100階を一気に登れるエレベーターがあるため、正直このエレベーターを引けるかどうかの運ゲーです。出ない時は500階くらい降りても出ません。
問題の裏ダンジョンは365階区切りの10セット+裏ボスが待つ1階で3651階。1セットごとに敵がパワーアップし、拾えるアイテムも(半端ないくらい)パワーアップします。
また、1セットごとに回想のような会話イベントが挟まります。その際に結構重要な話をしたりもするので、これは本編で言えよ‥‥と何度思ったことか。
困ったことに1セットごとにボスがいたりすることは無く、倒すべきボスは3651階にのみ存在します。つまり10セット目まで駆け抜けて10セット目のあり得ないくらい強い装備を拾っておけば良いってことになります。途中の装備更新はほぼ無駄です。
拾えるトレジャーなども急に新しいものが増えますが、何の使い道もありません。依頼メモで必要なトレジャーがここで全部揃うとかだったらマシだったのに。
セーブポイント的なものも、エレベーター同様にランダム出現です。驚くことにセーブできるかどうかも運。
幸い1セットの区切り(365の倍数階)に到達すれば区切りからやり直せますが、例えば最初に200階まで降りて、セーブポイントを見つけられずに全滅したら、区切りである365階には到達出来ていないので1階からやり直しです。200階分地道に登った分はパァになります。
また、これはバグなので今後修正されるとは思いますが、中断セーブを使ってしまうと
、再開時に高確率で画面外にすっ飛んだり壁に埋まっていたりして全滅扱いになるようです。
自由にやめさせてももらえない。うーん酷い。
そんな長丁場なのに、回避不能な即死コンボ(即全滅帰還コンボ)も存在します。
理不尽に強い強敵や追跡者に避けられない状態でぶつかることや、落とし穴の先がまた穴だったなんてことも。運が悪いとダンジョンが穴だらけになって避けられない位置で落とされ全滅というのもあります。なりました。
銀ノ匙という敵の出現を抑制するアイテムを使いまくれば戦闘での全滅は避けられますが、ランダム発生の落下死は運が悪いとどうあがいても避けられません。
また、この銀ノ匙は店売りされていないため、安定を取りたいなら敵を倒してかき集める必要があります。(幸い集めやすい箇所がありますがそれでも時間がかかります)
銀ノ匙を使っている間は新たな敵が湧かないのですが、効果が切れたあとに一歩でも動くと敵が湧き出してしまうため、切れた瞬間にアイテム画面を開いて再使用しないといけません。これはルフ魔女と同じ仕様なのですが、なぜ切れた瞬間に『続けて使いますか?』的なインフォを出してくれないのか‥‥。あとアイテム整理が面倒なので銀ノ匙を選ぶのも手間です。
この果てしない苦行を終わらせないと真のエンディングは見れません。
ノーマルエンドが多くの謎を残したまま非常にあっさりと終わってしまい、真実知りたいなら裏ダンやってくれよな!みたいな終わり方をするので意気揚々と乗り込むのですが、待っているのはこのクソゲーです。
グランドエンディングとは言いますが、ルフ魔女のようなエクストラエンドとは異なり、ガッツリ本編の続きとなっている内容です。全部終わった後のおまけダンジョンなら許せましたが、これは許されるものではない。
グランドエンディングの内容自体は素晴らしいものだったので、大半の人がここまで辿り着けず挫折するような作りにするのは本当に良くないなぁと思います。
終わった感動よりも苦行から解放されたという安堵が先に来ましたし‥‥。
完全クリアのご褒美がこれか‥‥?
最後、苦行の裏ダンジョンを終えた後、残しておいたクエストの全消化に挑みました。
前述の通り調整不足も甚だしい内容が多く、チョコドングリ10個とか殺意を覚えます。
そして全ての依頼を終えた後に出てくる、最後の依頼の文章がこれです。(一応自力で見たい人はネタバレ注意。ほとんど意味のない文ですが)
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はい。
嘘でしょ?
この意味を成さない文を翻訳するような手段は恐らくないです。
ルフ魔女クリアした人なら依頼主と報酬の意味はなんとなく分かりますが、この文章は何?これで終わり?
こんなもののために20時間近く粘ってたのか‥‥と呆れて電源を切りました。
すごーく微妙な気持ちのまま、ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団、完全クリア。
まとめ
総評としては、やればやるほど嫌いになっていく、という不思議な感じのゲームでした。
最初に必ず通るバッドエンド(ルフ魔女にもあったデッドエンドみたいな感じ)を見た後に展開がガラっと変わり、ワクワクが最高潮になります。
ですが、その後はどんどんダンジョンRPGとしては作業感ばかりが目立つようになり、お話を読むためにつまらない作業をやってるような気分に。
ストーリーは良かったものの、ダンジョンRPGとしてはお粗末な作りだなぁと感じました。
同時に、ルフ魔女はストーリーの良さとダンジョンRPGとしての面白さがちゃんとしていたからこその名作だったんだなぁと思いました。
何か結果としてルフ魔女の出来の良さを再認識するような感じに‥‥。
肝心のルフ魔女との繋がりですが、両作を裏クリアまでやったら「恐らくこうなんじゃないかな?」と薄ら考察出来る程度なので、ガレ魔女だけやっても問題ないのはそういう意味です。
ルフ魔女より快適になっている部分もあるものの、ルフ魔女がそこまで不便だったというわけではないので、魔女ノ旅団に興味があるならやっぱりルフ魔女からやった方がいいんじゃないかなぁ。
最後の方に次回作を匂わせる発言があったため、魔女ノ旅団シリーズは続くのかも知れませんが‥‥この有り様ではちょっと。
何度も発売延期になったことや、日本一ソフトウェアがあまり宣伝に力を入れていないことから、開発中に何かあったんじゃないかと邪推してしまいます。
三作目で巻き返せるのか、もうガレリアで終わってしまうのか‥‥。うーん、頑張ってほしいけどなぁ。